久しぶりの更新です。
気づいたら我が家玄関前にあるヒメシャラの樹は葉を落とし、
通勤路は銀杏の落葉で黄金色に染まっていました。もう冬がそこまで訪れてきているんですね。
全ての葉が落ちる頃には、ありがとうの種は創業3周年を迎えます。
創業にあたっていくつかのマイルストーンを設定していたのですが、
先日3年目にしてようやくひとつのマイルストーンを達成することが出来ました。
ありがとうの種が運営しているカフェ事業(www.signwithme.in/)では
以下のミッションを設定しています。
・当事者による当事者の雇用創出
・当事者による当事者の職域開発
・当事者による当事者のロールモデル発信
※ここでいう当事者は「ろう者・手話者」のことを指します
このうちロールモデル発信は店舗立地からもお察しのように
東京大学のそれも医学部に通う学生を意識しています。
実は大半のろう者は人工内耳等で「聞こえ」を獲得することを望んでいません。
ろう者が望むのはどこでも不自由なく手話でコミュニケーション出来る社会です。
しかしながら、ほとんどのろう者は医師の「残念です」発言によって
社会的に「障害」を被り、障害者となっていきます。
このように「聞こえ」が絶対正義の中で「ろう」を治療の対象ではなく、
ひとつの人種として尊重する社会にしていくためには、
まだ頭の柔らかい学生のうちからろう者と交流し、理解を深めていく必要があります。
おかげさまで少しずつですが東大医学生のご来店も増え、
ろう者に対する認識もずいぶん変わってきたのではないかと最近手ごたえを感じています。
そしてついに「鉄門」から講演依頼が来ました。
鉄門とは東京大学医学部&附属病院の象徴であり、愛称です。
依頼主はSocial Café Sign with Meの常連客でもあり、
鉄門手話の会(http://utmed-shuwa.blogspot.jp/)の代表を務めている辻賢太郎さんです。
辻さんのおかげで医学生を前にろう者としての想いを語るという
ひとつのマイルストーンを達成することが出来ました。
少々古いネタになりますが米国で「安楽死」の議論がありました。
良し悪しは別にしてその選択をするために不可欠なのが「情報」です。
得てしてろう者と医師はなかなかコミュニケーションが取れない代表的な例です。
その関係性の中で命を委ねることは非常に勇気がいります。
今回の講演で医師とろう者の立ち位置やコミュニケーションのあり方について
ハラハラドキドキしつつ一石を投じてきました。
どうかこの一石がこれからのろう者にとって過ごしやすい社会につながりますように。