高く跳ぶその日まで

コロナショック

 20世紀は戦争の時代。21世紀はウイルスの時代と知識人は語る。ありがとうの種も例にもれず、国や東京都からの新型コロナ感染拡大防止要請に応えるべく Social Cafe Sign with Me の一時休業に踏み切りました。

 非常に悩みました。簡単に決断した訳ではありません。飲食業が営業を停止する事は死活問題であり、スタッフの給料を保証し続け、家賃を払い続ける事には限界があるからです。

 一方で大切な人のためにも感染拡大を食い止めねばなりません。

 こんな時だからこそ経営者として力になれることは何か?を考えたとき、身を切る思いで一時休業を選択しました。それもこれも利益あっての事です。感染リスクを抑える事はもちろん絶対条件です。

 しかし経済が滞らないように考えていかねば、収束した後の社会は立ち直れません。経営者は常に二律背反の中で足掻けなければならないのです。

with コロナの時代

 連日メディアで「新常態」という言葉が叫ばれています。この時代に生きる私たちは自然災害やウイルスと対峙というより、いかに上手に付き合うかという発想が求められています。

 ありがとうの種としてもこの「新常態」の中で手話者として輝く社会をつくるためにどうすべきかを必死に考えてきました。

 結論からいうと今まで以上に迅速に臨機応変に「新常態」に対応すべく、創業の地である本郷商店街を離れる決断をしました。経営資源の選択集中です。

  Social Cafe Sign with Me は本郷店と春日店の2店舗がありましたが、創業店舗の本郷店を春日店に移転統合し、ひとつの店舗として俊敏に対応できる体制づくりを行っていきます。

 この決断は食べ物がのどを通らないくらいの痛みを伴いました。経営者失格といえばそれまでですが、一緒に働いた仲間たちと別れるというのは筆舌に尽くしがたい苦しみがありました。



ピンチはチャンス

 新型コロナウイルスで正直、心が折れかけました。しかし一方で外出自粛を通して初心にかえり、目標の再設定に専念することができました。

 9年前、当事者問題をビジネスで解決することをテーマに起業したあの熱い思いをそのままにブラッシュアップし、新常態にも対応できる新事業を起ち上げます。

 さらなる雇用創出機会を作り、仲間たちを呼び戻して手話者が輝く場所を増やしていきます。

 引き続き、応援のほどよろしくお願い致します!

特性の理解を助ける存在を目指す

当たり前のように使える「社会資源」がろう者に使えない時、はじめて私たちは「障害者」になる。
共生社会の理念が広まった現在においても「障害者」にされてしまう状況はまだまだ残っている。

【電話絶対主義】

この言葉の下にろう者(聴覚障害者)は抑圧されてしまう。
いわば書記日本語(書く言葉)をメインにする人たちの排除ともいえる。

ICTが発展してきた昨今、メールやFAXは記録性の高さだけでなく、リアルタイムで対応できるようになっているが、それでも「電話絶対主義」は揺らがない。

つい先日、新規事業のテナント契約に際して、賃貸保証人にろう者を選出したところ、保証会社から電話ができない人は不適格者と通告された。

その対応も人格否定につながる言葉が出てくる等、とても筆舌に尽くしがたいものがあった。

怒りを抑えながら、粘り強く、会社の上層部に昨年4月スタートの「障害者差別解消法」を法的根拠とする違反性から働きかけたところ、会社側から認識不足と直々の謝罪を受け、今後の対応について話し合うことができた。

この話し合いが実現できた裏には近年普及している日本財団のモデル事業「電話リレーサービス」の存在が大きい。このツールを元に「合理的配慮」をキーワードに世の中の動向にみる支援ツールや社内研修の見直し等を提案した。

今回の件では、こちらが電話対応の代替手段としてメール・FAXなどを提案したが、相手方が対応策を講じず、門前払いをしたことが「不当な差別的取り扱い」に該当する。

しかしながらまだこの「電話リレーサービス」は、今回の案件を含めてまだまだ完全ではない。
個人情報の取扱いや緊急通報に関わる法整備がまだ進んでないからだ。

先日も愛知県の海難事故で「電話リレーサービス」によって救助されたニュースがあるが、緊急通報は命に関わる事柄であり、一事業者の手には負えるものではない。

「電話リレーサービス」は一事業者によるものではなく、国の行う通信インフラに位置づけられるべきものである。

実際、世界的視野に立つと日本はかなり遅れている。諸外国はユニバーサルサービス料金等で聴覚障害者が電話利用できるよう整備されている。

東京五輪を控え、日本も様々な特性に対応できる社会を目指し始めている。

そのために「特性の理解」がとても重要になってくる。理解しないことには先に進めないからだ。当法人はその理解を助ける存在を目指していく。

頑張ります!

 

Good! Job Award 入選!

障害のある人のもつ力の可能性を最大限生かせる仕事・はたらき方の仕組みを発掘したり、紹介していく「Good! Jobプロジェクト」というものがあります。

4000件超と過去最大の応募があった2016年度グッドデザイン金賞に選出されるほど先進性と社会性を兼ねそろえたイベント団体です。

この『Good Job!プロジェクト』が運営する「Good Job! Award」に一般社団法人ありがとうの種が運営する-Social Café- Sign with Me × very berry soupが入選しました!

グッドジョブ
http://exhibition.goodjobproject.com/

「Good Job! Award」とは、既存の価値観を変えるアイデアや感性や発想で、障害のある人の可能性を生かした新しいしごと、働き方、取り組みなどを募集する公募プログラムです。

審査基準は、多様性、革新性、地域性、経済性、影響性、デザイン性の6つだそうです。

第一線で活躍するクリエイターやデザイナー、研究者などが「なぜ、この取り組みを選びたいのか」「いま、その取り組みを選ぶ意義は何か」についての議論を繰り返し、全55件の取り組みから12件が決定、その一つに当法人が選ばれました。

日本手話を母語とするろう者によって設立した一般社団法人ありがとうの種がスープカフェを運営する株式会社スープアンドイノベーションと福祉ではなくビジネスで提携し、ろう者か聴者がメリットのある関わりを目指す取組みが評価されての選出です。

入選した12件は、2017年2月24日(金)〜26日(日)に、渋谷ヒカリエ8階 8/COURTで開催される Good Job! Exhibitionにて展示します。そして2月26日(日)に最終審査会があり、大賞が決定します。

これもひとえに当法人の理念に賛同し、ご支援いただいているみなさまのおかげです。

ちなみに2月25日(土)18時からのセミナーに登壇して当法人の取組みをお話しする予定です。ご都合がつけばぜひお越しください。

ご興味のある方は以下リンクからお申込みください。
『GOOD JOB! NOW ~障害のある人との協働実践者~』
https://goo.gl/forms/NR67Vf48tbgCvcvr1

一隅を照らす

寒さもピークですね。部屋の温度がマイナス2度を指しています。
キーボードを打つ手がかじかんでたまりません。
でも心はちょっとした達成感からくる興奮で熱さを感じています。

file file1

興奮の理由は創業時の融資返済完了のお知らせでした。

思えば5年以内の返済を義務付けられていたのですが、
金額の大きさにプレッシャーから何度も逃げ出したい衝動にかられたものです。

それでも逃げ出さず、頑張れたのは私の創業に対する想いを理解し、
ご支援いただいた皆さんのおかげです。

【一隅を照らす】

私の好きな言葉であり、創業の想いでもあります。

意味は 一人ひとりが、それぞれの持ち場で全力を尽くすことによって、
社会全体が明るく照らされていくという考え方です。

私が別に偉い人になる必要はないけれど、社会のどこにいても、
その立場においてなくてはならぬ人になる。

その仕事を通じて世のため人のために貢献する。
そういう生き方を目指してきました。

人は誰でも、何らかの使命を果たすために、この世の中に生まれてくるものだと思います。

だから人をうらやんだり、自分を卑下するのでなく、
自分を信じて自分の場所で仕事に専心すれば、必ずいい仕事ができるはずです。

人が幸せを感じられるのは「福祉」よりも「仕事」です。
自分が輝ける場所や機会こそが私たちの喜びであり、幸せなのです。

これからも一人ひとりが輝ける場所や機会を創出していきます!
応援よろしくお願いします。

法人化一周年!

大寒を迎え、寒さもひときわ厳しくなりました。
各地から大雪の知らせが届いていますが、いかがお過ごしでしょうか。

おかげ様で1月14日をもちまして「ありがとうの種」法人化1周年を迎えることが出来ました。
これも皆さまの温かいご支援のお陰と本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

思えば、慣れない法人手続きでストレスのあまり湿疹に悩まされたことが懐かしいです。
詳しくは「東京開業ワンストップセンター」が発行している通信に当時の私の様子が紹介されているので是非ご覧ください。
東京開業ワンストップセンター通信_新起業人@
東京開業ワンストップセンター

このように紆余曲折あった法人手続きも無事完了したことで、新たな融資や助成金を受けて昨年4月に念願の二号店【-Social Café- Sign with Me × very berry soup春日店】を開業することが出来ました。

気が付けば1年経ったわけですが、たくさんの素晴らしいお客様や、セミナーで講師を引きうけてくれた友人、知人の皆様、オープンまで応援してくれた関係者の皆様、今、SWMにかかわってくれている皆様、そして今まで頑張ってくれたスタッフ達、それらすべての方々がSWMを支えてくれた宝物だと思っています。

これからも、ホッとひと息つけて、美味しいスープやスイーツを楽しめるカフェを目指してスタッフ一同、進んでいきたいと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

安部昭恵首相夫人のご来店

暑中お見舞い申し上げます。
ゲリラ豪雨で水不足が解消されつつあるこの頃ですが、水害にはどうぞお気をつけ下さい。

先日の笹川陽平日本財団会長のご来店に続いて、今度は安倍首相の奥様こと昭恵さまがご来店されました。
安部昭恵さま

おかげで新メニュー開発で太った体重が思いっきり痩せました!
それだけプレッシャーはハンパなかったです。

でも日本のトップに誰よりも近い昭恵さまにも注目していただけるというのは私たちの取り組みの確かさであり、自信にもなります。

昭恵さまが著したご本『「私」を生きる』をご献本頂いたのですが、「フルマラソンを完走したことが自信になって大学院進学に挑戦できた」という一節にすごい共感を覚えました。
IMG_4647 IMG_4646

なぜなら私も社会問題解決を福祉ではなく、ビジネスで達成していくと決めたものの、独立起業となるとさすがに二の足を踏んでいました。

当時、東京マラソンの抽選に当たったこともあって、完走出来るかどうかで自分の想い、精神力が本物かどうかを確かめたかったのです。

結果は6時間58分と足切りギリギリの完走でした。あれが自信になって今の私があります。

もう5年も前の話ですが、昭恵さまのおかげで改めて初心に戻ることが出来ました。

お忙しい中、ご来店ありがとうございました!
頑張ります!

笹川陽平さまのご来店

4/14(木)から熊本県などで相次いでいる地震で
被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

気づいたらGW終ってしまいました。
皆さまいかがお過ごしでしたでしょうか?

-Social Café-Sign with Me春日店もおかげさまで開業して1か月経ちました。

先日は春日店の開業にあたって多大なご支援を賜った
日本財団会長の笹川陽平さまが直々にご来店されました!

Sign With Me カフェの前で

お会いするのは初めてでしたが、なぜか親近感を覚えました。
彼の人徳のなせる業なのでしょう。

日本財団は税金で支援を受けている人を税金を納める側に回っていく、
すなわち納税者になる「当たり前」の社会を目指すために、「はたらくNIPPON!計画」を
立ち上げて既存の福祉事業から飛び出した事業者の支援をスタートさせています。

当日は恐縮にも、お食事のお供にあずかる僥倖に恵まれたのですが、
さすがに眼光は鋭いものがあり、その奥には厳しいながらも優しさのある光を
たたえておられました。

パソコンとブギーボードを使いながらの会話でしたが、
彼の一言一句は非常に強くそして重いものがありました。

お話しの中で「百店舗を目指そう!」というお言葉が出た時は仰天して、
思わず「え?」と反応してしまったのですが、彼はあの眼光で睨み返されました。

「あ、そういうレベル感で取り組んじゃダメなんだ。
やるならそのくらいのスケール感をもって取り組まなくちゃいけないんだ。」と
改めて再認識しました。本当に刺激的なひと時でした。

まだ1ヶ月です。ようやくスタート地点に立ったにすぎません。これからが勝負です。
しかしこの1ヶ月は私たちの進むべき道が確かなものかを
確認するとても貴重な時間でもありました。

この御礼は当店のさらなる発展という形で示し続けてまいりたいと思います。
皆さまのご厚志を無駄にすることなく、誰もがありがとうをもらえる社会を
次世代にバトンリレーできるようスタッフ一同で邁進してまいります。

春日店(2号店)開業

4月5日。

この日、当法人は文京区、日本財団のご厚志を受けて−Social Café−Sign with Me × very berry soup 春日店(二号店)を開業しました。

日本財団

店を始めるに当たって、「絶対にやめよう」と思ったのは、趣味でやっているようなユルい店にすることでした。

利益が第一目的ではありませんが、店として経営がきちんと成り立つことがお客様からの評価だと考えています。

当事者問題を福祉ではなくビジネスで社会的価値を追求して5年目。
文京区、日本財団にこの心意気を評価してくれたと思っています。

かべ

折しも4月1日から『障害者差別解消法』が施行されました。
しかし私たちは楽観していません。あくまでも聴者優位社会における差別解消であり、「聴者の邪魔をしないこと」が暗黙の了解としてあると感じているからです。

この法律が実効性を伴うためには
当事者が自らイニシアチブを取っていくことが求められます。
そのためにも当法人はより存在意義を高めていかねばなりません。

文京区、日本財団からのご厚志を無駄にせず、誰もがありがとうをもらえる社会を目指して頑張ります!

これからも応援よろしくお願いします。

最優秀オーナー賞

今日は東京マラソンでしたね。
走りきれなかったら起業は出来ない!と背水の陣で臨んだのが懐かしく思い出されます。

そして5年後の今、先日行われたベリーベリースープ全国会合で「理念達成」を意味する最優秀オーナー賞という名誉にあずかる僥倖に恵まれました。

最優秀オーナー賞 表彰式

これもひとえに理念を具現化するスタッフ、そして周りの支えのおかげです。

おかげ様でありがとうの種は今年1月14日付を持って「一般社団法人」に移行し、社会的責任はより一層重くなりました。

しかし法人になったからと言って個人事業時代から底流にある精神は変わりません。

ろう者問題はこれまで「かわいそうだ」という上目線に基づいた「慈善アプローチ」や聴者が築いた社会への適応を求める「福祉アプローチ」が取られてきました。

これを私たちは「リハビリテーション」という名の下に矯正・訓練によって解決されるのではなく、社会的抑圧の除去に当事者としてビジネスで解決を試みようとしています。

そもそも、慈善や福祉によるアプローチで福祉漬けになる人はどうしても「何が与えられているか」にばかり着目します。他の誰かになりたかったり、羨んだりします。

このように受け身になればなるほど不平不満ばかり表明します。

そうではなく、自分自身とまっすぐ向き合い、身につけている自分の能力をどう使うかに注目するようにしています。足りないものがあれば、自らどうやって補うかを考えます。そこに不平不満は存在しません。

これは法人以降も揺るぎのない精神性としてこれからも存在し続けます。

桜が満開になる頃、当事者による当事者のさらなる雇用創出を目指して二号店を開業します。

これからも当法人の行く末を見守って頂けますと幸甚です。

セカンドステージへ

シフトチェンジ

12月1日。ありがとうの種が生まれて4年。数えで5年。
今年も無事にこの日を迎えることが出来ました!

これもひとえに、創業以来お客様をはじめ、多くの方々のお力添えあってのことと、改めて御礼申し上げます。

弊団体はいわゆる『障害者エリート』を支援する組織ではなく、平凡の凡な人が『ありがとう』をもらえる社会を目指して創った組織です。

何よりも『一人の百歩より百人の一歩』の方が社会に及ぼす影響は計り知れないものがあるからです。

一方で私たちは創業にあたって「してあげる〜してもらう」という『福祉漬け』の否定からスタートしています。

福祉は社会性ばかりにフォーカスが当てられるため、経済性を伴わずに途中で息切れするケースが散見されます。

だからこそ、ビジネスでしっかりと儲ける仕組みを作り、社会に還元していく組織を目指しました。

このように『自ら問いを発し、自ら答えを求めつづける意思こそが世を拓く力を持つ』を胸に刻んで脇目もふらずに走り続けてきました。

おかげさまでこの度ギアを1段チェンジし、創業期のファーストステージから基盤固めのセカンドステージに移行させていく目処がたちました。

具体的にはありがとうの種を一般社団法人にし、より強い組織にして行く予定です。

設立はもう少し先になりますが、今後とも皆様のお役に立てるとなるよう、ますます精進してまいる所存でございます。

今後ともなにとぞご愛顧のほどをよろしくお願い申し上げます。